理事長 吉田 光市

 一般財団法人建設経済研究所は、公共投資をはじめとする建設投資及び建設産業に関して理論的かつ実証的な調査研究を行う非営利・独立の研究機関として、1982年に設立されました。設立以来、各種の調査分析を継続的に行うとともに、毎年定期的あるいは随時にその時々の政策テーマについて、提言を行ってまいりました。また、アジア各国を初めとする海外の建設経済関係の諸活動について調査、情報交換を行うなど国際的な活動も行っております。

 近年の我が国経済は、名目GDPが600兆円を超え、力強い賃上げが実現しつつあるなど成長と分配の好循環が動き始める一方で、頻発する自然災害や甚大な被害が想定される大規模地震、老朽化したインフラの保全等の課題に直面しており、また、米国の通商政策に伴う経済全体の下振れリスクにも留意が必要です。

 我が国の建設投資は、名目値ではここ数年堅調に増加を続けておりますが、実質値ベースではほぼ横ばいです。現在受注高では好況を呈している建設産業も、少子高齢化の人口減少社会において、担い手不足、資材費・人件費の高騰、生産性向上の必要性、働き方改革の推進等と構造的な諸問題への対応が強く求められています。防災・減災、国土強靭化の着実な推進を図り、力強い経済成長と豊かな社会生活を支える土台としての社会資本の整備のために、建設産業が果たす役割は極めて大きなものであり、特に地域においては地域社会の安全・安心の確保に不可欠な存在になっています。

 当研究所は、多様な情報や知識を収集し、正確な情報やデータを検証・分析するとともに、新たな政策を提言していく「建設産業のシンクタンク」として、調査研究を進めてまいります。当研究所の活動が、社会資本整備、建設産業に関わる皆様の一助になれば幸いです。